大学生はノートをとらない

大学生は何をしているのか…講義を聞いているのか…聞いていないのか…大学生は何を考えているのか…何かを考えているのか…何も考えていないのか…

刑法(総論)~S大学~(n)

はい、本当はイントロダクションから順番にまとめたいけど内容をすっとばして

とりあえず本日(07/19)分の講義内容をまとめておきましょー

題して

「故意と錯誤と過失」


・故意

ある犯罪において「その犯罪の構成要素の客観的側面(実行行為・結果・因果関係)に対して認識及び認容」していること

(※→構成要素のもつ故意規制機能……予防・抑制機能)
  (※認容…結果の発生を①積極的に望む、または②(積極的に望みはしないが求める結果のために)やむを得ないと受け入れる


A.結果の発生を確実なものと認識している「確定的故意
B.結果の発生は不確実なものだがそれが発生する可能性を認識している「未必の故意

 

(※故意の体系的位置づけ 2種の説を紹介
⑴故意であろうとなかろうと侵害される法益の程度には変化がなく違法性のレベルでは同一であるので故意であるかどうかが影響するのは責任要素であるとする…責任要素説
⑵故意と過失は構成要件要素を担うものであり、構成要件該当性の段階でその差異を判断するべき違法性の要素であるとする…違法要素説 )

・故意の有無

実行行為の行われるその時点における意思決定において判断される

・「故意がある」ことの意味

(ア)意思決定可能論的な故意

故意がある=自己の行動から発生する結果に対する認識がありその行為を選択している

→他行為可能性の把握と所有の上で行為を起す=他行為を選択しないことへ非難が可能

→重い責任=処罰の許容性を持つ(責任をもっているので非難することが大いに可能と言える=責任主義

(イ)意思非決定論的な故意

故意がある=自己の行動から発生する結果に対する認識がありその行為を行っている

→認識できていながらその行為におよぶのは犯罪に走りやすい人物である=刑罰により教育・更生を行う必要がある(特別予防的思考)

 

つまりつまり…、故意であるときは十分に責任や予防の必要性から「処罰の許容性」を認められるみたいだ…故意であったら基本的に罰されたちゃうってことだね

となると、行動を起こすときに、自分の行動によって引き起こされるだろうことを少しでも考慮できてしまえば…それは、…故意の行いと言われてしまうのだろうか…私は金曜日に遊ぶ約束をしたと思っていたのに相手は木曜日だと思っていたなんて…私は金曜だと思ってたんだ……そう自分が思っていることが思い違いでそんな事する気はなかった…そんな時はどうなるんだろうか?


・錯誤

行為者の内心・主観における認識と客観的現実の状況に食い違いがある
事実の錯誤 行為者の認識と実際に発生した事実の食い違い(特に構成要件的錯誤と違法性阻却事由に関する事実の錯誤)
法律(包摂)の錯誤 事実を正確に認識しているものの¹自分の行動を禁じる法律の存在を知らなかった=「法の不知」(ただしそれ理由に罪を犯す意思を否定することは原則できない)や、²(法律の存在は知っていたが)法律の解釈を誤っており法律に触れないと思っていた

 

→故意は犯罪の認定要素として重要なものであり、そこに主観と現実との差異があった場合、故意の有無を判断するのに考慮するべき影響があるのではないだろうか
※軽い罪を犯すつもり(主観)はあったが重い罪を犯すつもりがなかったにもかかわらず重い罪を犯してしまった(客観的結果)者を重い罪で裁くことはできない
※どの程度までを認識の食い違い、または故意と判断するのか

 

ふむふむ、どうやら思い違いのときはちゃんとそこんところ考えてもらえるみたいだ

じゃあ、たまたま不注意で事故を起こしてしまったりしたときはどうなるんだろう…事故を起こしたくて事故ったわけじゃないのに…

 

・過失

ある法益の侵害に対して「注意することでその発生を防ぐことが出来た」のに防がなかったこと

 

・「過失がある」ことの意味

注意すれば防ぐことが法益の侵害が過失=その侵害の発生を防ぎうる選択肢の存在

→他行為可能性がある=他行為を選択しなかったことへの非難が可能である

→責任を問うことが出来る=処罰の許容性を持つ

 

・過失の有無への判断構造

過失の有無の判断は①結果の予見可能性と②発生の回避可能性を考える① 行動からその結果を予見することが可能であったかどうか

①抽象的ではなく具体的なある結果を予見することが出来るかを判断基準とする

② 行動から生じた結果の発生を回避できたか、回避するための行動を行うかどうか

回避は義務であり、できる限り回避することを努力する事が求められるが、「常に万全な措置をとる事」を求めることで、その行為の有用性を損なうときはその限りではない

 

予見可能性と回避可能性からなる過失のパターン

1.予見可能性なし―過失ではない

2.予見可能性あり+回避可能性なし―(予見はできても回避ができず)過失ではない

3.予見可能性あり+回避可能性あり―(予見はでき回避もできるので)過失である

 

・過失の程度の判断過失の特殊性

刑法における禁止行為は①「ある行為に伴うリスク(行為から生じる損失×損失の発生する可能)」と②「行為によってもたらされる利益」を考慮して定められるが、通常の故意犯の場合には例外的な場合を除き②は存在しない、しかし過失においては①と②が同時に存在するため、どこまでの行為を許容するのか検討する必要がある

 

(※信頼の原則

結果と発生のすべてを考慮していては社会の円滑性を欠いてしまうため負担の分散を図りながら、過失の範囲を考えるのに用いられる考え方で、「被害者や第三者が適切な行動をとることが客観的・社会的に期待できる状態で、それを信頼して一定の行動を起こした時、法益の侵害を犯してもそれを罰しない」というもの

 

なるほどねぇ、予測することと回避するために行動することが大切みたいだね

さーて、「故意と過失と錯誤」についてある程度分かったし、ここで日本の刑法の故意と錯誤と過失の取り扱いについて認識しておこうか

 

日本の刑法

原則的に故意犯のみを罰する(故意犯処罰の原則)、しかし特別に規定があるときにのみ過失犯も罰される
例:故意犯のみの処罰→窃盗、特別の規定による過失への処罰→殺人
 (※ただし特別な規定を設けても「無過失」な行為は処罰の対象とならない→「責任主義の原則」)
 (※特別な規定 ①「過失」や「業務上の注意を怠」ることによる規定(例:209条)②重い結果発生を受けて結果的加重犯の規定(例:181,205条)③刑罰法規に規定される一定の要素を満たす客観的処罰要件又は処罰阻却事由と解される場合(例:親告罪))

 

刑法は「法益の侵害・危険に向けられた意思的行為による故意行為」を原則的な処罰の対象と考え、故意犯処罰の原則を用いる。これは刑法と刑罰の存在理由と機能(法益保護の目的)に照らして、自らの意思で「行われることを阻止したいと考えられる行為を行う者」に対しては¹重い規範的評価と、²ほかの一般市民に向けての警告を発する事が合理的であるため

 

講義の概要に関してはこんなもんだし、

さぁ、例題を考えよう→「故意と過失 例題」